バイアス裁ちの布は、糸が布の面に対して斜めに走るため、優雅なドレープが生まれます。一方で、その斜めの織り目によって布は動きやすくなります。扱っているうちに縫い目が伸びたり、押さえ金の下で波打ったり、いざ縫う段階で相手側の布と長さが合わなくなったりすることがあります。
対策は、布を無理に平らに押さえつけることではありません。伸びてしまう前に、あらかじめ支えておくことです。伸び止めのステッチ、細いテープ、丁寧なピン打ち、そして軽いアイロンがけによって、仕立て上がりの柔らかさを保ちながら、縫い目を本来の形に近い状態で安定させられます。
用意するもの
- 裁断したバイアス布。平らに置き、印をはっきり付けておく
- 布に合うミシン糸
- 布地に適した細いミシン針
- 伸び止めテープ、縫い代用テープ、または薄手の接着芯を細く切ったもの
- アイロンと当て布
- 文鎮または細い待ち針を数本
- 試し縫い用の同じ布の端切れ
必要な効果が得られる範囲で、できるだけ軽い補強材を選びましょう。しっかりしたテープは、柔らかなシルクやビスコースの縫い目を硬く感じさせることがあります。また、繊細な布では、厚い接着芯の端が表に響く場合もあります。迷ったら、まず端切れに補強材を試し、手で曲げて風合いを確認してください。
裁断したパーツを準備する
布を落ち着かせる
バイアス裁ちしたパーツは、手から垂らさず、テーブルの上で支えておきます。裁断したばかりの布なら、印付けや縫製を始める前に、しばらく平らに置いておきましょう。裁断時に動いた布が、自然に落ち着く時間を取るためです。
長いパーツを一方の角だけ持ち上げないでください。下からふんわりすくうか、動かすときに下へ薄紙や軽い紙を滑り込ませます。端をそろえようとして布を引っ張るのも避けましょう。引っ張った歪みが、そのまま縫い目に移ってしまいます。
安定させる前に印を付ける
パーツを平らにした状態で、合印、縫い目の交差点、ウエスト位置、その他の合わせ印を写します。布に適した、細くて消せる印付けペンやしつけ糸を使いましょう。後から印を付けようとすると、縫い目を開くために伸ばすことになり、せっかく整えた位置関係を崩すことがあります。
縫い目をよく確認してください。肩線、衿ぐり、アームホール、ウエストライン、横方向に走る縫い目は、縦に垂れる縫い目よりも保護が必要になることが多い部分です。脇線も、服が長い場合や重い場合、非常に柔らかな布を使う場合には補強するとよいでしょう。
縫い代を確認する
伸び止めの補強は、服の表に出る部分ではなく、縫い代の中に入れます。テープを貼ったりステッチを入れたりする前に、仕上がり線と縫い代幅を確認してください。パターンの端がカーブしている場合は、まっすぐに伸ばそうとせず、意図された形に沿ってそっと整えます。
ステップ1:伸びやすい端に伸び止めステッチを入れる
ミシンをきれいな直線縫いに設定し、布1枚だけを縫い代の内側ぎりぎりに縫います。針元へ進む布は、テーブルの上に置いたままにしてください。押さえ金の後ろから引っ張ったり、前方で持ち上げたりしないようにします。
縫い目をまっすぐに直そうとするのではなく、縫い目の形に沿って縫います。カーブした衿ぐりやアームホールでは、ステッチを滑らかで均一にします。斜めの縫い目では、仕上がり線と平行になるように保ちます。
伸び止めステッチは、裁断後なるべく早く入れると効果的です。印付けや仮 fitting の間に端が伸びるのを防げます。布を寄せるためのものではないので、縫うときに端を伸ばさないでください。極端に繊細な布の場合は、先に針と糸を試しましょう。目立つ穴が残るなら、針やステッチが強すぎるサインです。
カーブした端では、縫う方向によって布の動きが変わることがあります。パターンの説明に方向の指定があれば、それに従ってください。指定がない場合は、布が自然に横たわり、縫い代がテーブル上で支えられる方向を選びます。
ステップ2:縫い目に芯が必要な部分へ細いテープを加える
短い衿ぐりや小さなカーブなら、伸び止めステッチだけで十分な場合があります。縫い目が長い場合、重さがかかる場合、仕立て中も正確に合わせておきたい場合は、伸び止めテープを使いましょう。
テープを縫い目より少し長めに切り、縫い代の中でステッチ線に沿わせるか、そのすぐ横に置きます。幅広い補強材よりも、細いテープのほうが一般的には扱いやすいでしょう。縫い目を支えながら、服全体に硬さが広がるのを抑えられます。
肩線では、衿ぐり側からアームホール側へ、縫い代に沿ってテープを置きます。ウエストラインや長い脇線では、縫い目全体を補強する必要がなければ、特に伸びやすい部分だけを支えます。ファスナー開きでは、薄手の接着芯を細く貼ると、ファスナーの脇で布が伸びるのを防ぎやすくなります。ただし、当て布を使い、布地に必要な最低限の温度で作業してください。
接着芯を使う場合は、可能であれば布目を縦方向にして切り、端切れで接着力を試します。布もテープも伸ばさずに置いてください。アイロンを滑らせず、押して持ち上げるようにプレスします。滑らせるとバイアスの形がずれやすくなります。貼った部分を平らなまま冷ましてから動かしましょう。
熱や接着剤が使えない場合、または表面が壊れやすい場合は、縫い付けるタイプの縫い代用テープや非常に薄い綾テープも選択肢になります。縫い代の中に縫い付け、補強材自体を伸ばさず、自然な状態に保ちます。
ステップ3:引っ張らずにパーツを合わせる
布を中表に重ね、切り端だけでなく縫い目の線を合わせます。バイアスの端は動かすと長さが変わることがあるため、ステッチ線を基準にすると、より確実に合わせられます。
まず、合印、縫い目の交差点、ウエストの印、縫い目の両端といった重要な位置を合わせます。縫い代に対して直角に待ち針を打つか、文鎮をいくつか使ってパーツを整えます。滑りやすい布では、待ち針をたくさん使うよりも、手でしつけをしたほうが落ち着いて正確に作業できることがあります。
片方のパーツが長く見えても、短いほうを伸ばして合わせないでください。いったん両方を平らに戻し、扱っている間にどちらかを引っ張っていなかったか確認します。安定した合印の間にあるわずかな差なら、そっといせ込める場合もあります。しかし大きな差があるなら、布または縫い目が歪んでいる可能性が高いため、先へ進む前に布を休ませましょう。
バイアスの端を、より安定した縦地の端に合わせる場合、ミシンが下側の布を早く送りやすいなら、安定したほうの布を上に置きます。まず短い部分で試し縫いをしてください。バイアス側が相手側より長く引き伸ばされることなく、自然に送られる状態を目指します。
ステップ4:布をコントロールしながら縫う
布に合った細い針、同色の糸、通常の直線縫いを使います。一定の速度で縫い進めましょう。押さえ金の前後に手を軽く添えますが、両手の間で縫い目を伸ばさないでください。
長い縫い目や非常に柔らかな布を縫うときは、布の重さが針にかからないよう、テーブルの上やミシン脇の椅子で支えます。押さえ金の圧力を調整できる機種なら役立つこともありますが、設定は一度にひとつだけ変え、端切れで試してください。
縫い目が波打ち始めたら、最後まで縫い続けずに止めます。引っ張らずに布を外し、平らに置いて、布を伸ばしてしまったのか、糸調子が合っていないのか、送りがパーツを異なる速度で動かしているのかを確認します。この段階で少し時間をかけるほうが、仕上げ後に波打った縫い目を直すより簡単です。
後で縫い代を切りそろえたり、縫い代の中に隠したりする縫い目でも、パターンに取り除く指定がない限り、安定用のステッチは残しておきます。これは単なる仮の印ではなく、支えの構造の一部です。
ステップ5:布を伸ばさずにアイロンをかける
縫い目は裏側からアイロンをかけます。繊細な布やテカリが出やすい布には当て布を使いましょう。アイロンを縫い目に沿って引きずらず、置いて持ち上げるようにプレスします。まず縫った状態のまま押さえ、その後、パターンの指示に従って縫い代を割るか、片側へ倒します。
アイロン台から布を持ち上げる前に、布が冷めるまで待ちます。バイアス地は温かい間に新しい形がつきやすく、すぐに動かすと、テープやステッチで支えた効果が失われることがあります。
カーブした縫い目には、可能なら仕立て用のまんじゅうや、別の丸みのある台を使います。縫い目を開くためにカーブを無理に平らへ伸ばしてはいけません。縫い目に小さな波が出た場合は、少量のスチームとやさしく持ち上げるような操作で落ち着くことがありますが、布を伸ばしてしまうほど強くプレスしないでください。
写真: UnsplashのDivazus Fabric Store。
仕上げと結果の確認
アイロンをかけたら、完成した服を着たときと同じようにパーツを吊るすか置き、目の高さで縫い目を確認します。縫い代に引きつれた線や膨らみ、波打ちがなく、滑らかに横たわっているはずです。合わせた印がずれていないか、補強材が表側から見えていないかも確認します。
縫い目を確認してから、必要な場合のみ縫い代を切りそろえます。バイアス地には複雑な縫い代始末が必要ないこともありますが、縫い代は布と服のデザインに応じて処理してください。厚みのある始末は柔らかな布に響くことがあります。一方、非常に薄い布では、厚いロック始末よりも細く整った処理が適している場合があります。
避けたい失敗
- 縫うときに布を引っ張る: 後で縫い目が波打つ原因になります。
- 切り端だけを基準にする: 切り端は伸びていることがあるため、印を付けた縫い目の線を合わせます。
- 接着芯を使いすぎる: 幅広または厚い補強材は、柔らかな縫い目を硬い盛り上がりに変えてしまいます。
- アイロンを滑らせる: バイアスの端が伸びたり、接着芯の位置がずれたりすることがあります。
- パーツを端だけ持って持ち上げる: 安定させる前の長い裁断パーツは、重力で伸びることがあります。
- 端切れで試さない: 針穴、接着剤によるテカリ、硬さが出すぎる問題は、服に使う前のほうが見つけやすいものです。
最も確実な方法は、控えめに補強することです。動きやすい部分だけを安定させ、布を支えた状態に保ち、アイロンをかけた部分は冷めてから扱います。そうすればバイアス裁ちのソーイングは、布と力比べをする作業ではなく、自然なドレープに安定した境界を与える作業になります。