工芸

手鋸の目立てとアサリの付け方

掲載 OldeCraft Notes, 2026年8月5日

数回のコントロールされたヤスリのストロークで、手鋸の切れ刃が甦ります。写真:Bailey Alexander on Unsplash。
数回のコントロールされたヤスリのストロークで、手鋸の切れ刃が甦ります。写真:Bailey Alexander on Unsplash。

手鋸が使えなくなるのは、たいてい突然ではありません。静かに鈍っていきます。最初の兆しは、切れ目が思うように進まないこと。次に、押すのに力が要ること。そして、肩が疲れること。たいていの人は刃がすり減ったと思い込みますが、そうではありません。歯は、そろっていた先端の高さと、わずかに外側へ開いた「アサリ」を失っているだけです。どちらも、目並べ器(ジョインター)と三角ヤスリ、アサリ付け工具、そして丁寧な数回のストロークで修復できます。

はさみで木を切っている人

写真:Jean-Baptiste D. on Unsplash

必要なもの

  • 目並べ器(ソー・ジョインター)、またはまっすぐな木片に固定した平ヤスリ
  • 細身の三角ヤスリ(目立て用)
  • アサリ付け工具(ソー・セット)
  • 作業用万力(ソー・バイスがあれば理想的。木の当て板でも可)
  • マーカー
  • 試し切り用の木の切れ端

鋸は万力にしっかり固定して作業します。歯が顎のすぐ上に来るようにし、深く埋め込まないでください。ぐらつく刃はヤスリがけを雑にし、刃の調子もさらに悪くします。

1. 歯先を目並べする

目並べ(ジョインティング)は、すべての歯先が同じ高さの線にそろうようにする作業です。これを省くと、ヤスリが低い箇所に沿ってしまい、研がれない歯が残ります。

鋸の柄が右手側に来るように万力に固定します。目並べ器または平ヤスリを歯先の上に水平に当て、軽い押しストロークで歯列全体を一度になでます。すべての歯先に小さな光る平面ができたらそこで止めます。あらかじめマーカーで歯先に色を付けておくと、この平面が確認しやすくなります。

歯列が磨かれたように見えるまで目並べを続けてはいけません。それぞれの平面は三角ヤスリの目印です。平面ができれば十分な基準になります。それ以上目並べすると、歯に残すべき金属まで削り落としてしまいます。

2. 歯を整形する

目並べされた平面は、鈍い小さな柱の頂上のような状態です。三角ヤスリで歯と歯の間の谷(ガレット)を削り、歯先を再び尖らせます。

最初の谷にヤスリを入れ、しっかりした押しストロークで削ります。ヤスリは一方の歯の背と隣の歯の面に同時に当たり、谷の両側を一度に削ります。鋸に沿って、谷を一つずつ進めていきます。二周目は、歯先にまだ平面が残っている谷に戻って削ります。

横引き鋸の場合、この整形の段階ではヤスリを刃に対して直角に当てたままでかまいません。横引き鋸としての刃先の面取り(ベベル)は後から付けます。この段階の目的は、きれいな谷と、そろった鋭い歯先の列を作ることです。

茶色い木の上の黒いハンマー

写真:Alexander Andrews on Unsplash

3. アサリを付ける

アサリのない鋸が作る切溝(カーフ)は刃板の厚みと同じなので、刃が自分の切った溝に挟まれてしまいます。アサリ付けは、各歯の上部を左右交互に曲げる作業で、切溝を刃板よりわずかに広くします。

鋸の端から順に作業します。アサリ付け工具が歯先の近くを掴むように調整します。一つおきの歯を手前から向こう側へ曲げ、その間の歯を手前側へ曲げます。一般的な作業での目安は、刃板の厚さの約3分の1に相当する曲げ量です。乾燥した広葉樹ではやや少なめに、生木や軟材ではやや多めにします。

曲げるのは歯の上部だけにします。アサリ付け工具が低い位置を押すと、歯の根元にひびが入ることがあります。曲がりがはっきり見えないときは、歯にマーカーを塗って刃に沿って見てください。アサリの付いた歯は、先端のほうで光を反射して見えるはずです。

4. ヤスリで目を立てる

ヤスリがけこそ、鋸を鋭くする工程です。谷に快く収まり、隣の谷に当たらないサイズの三角ヤスリを使います。一般的な8〜10目(1インチあたりの歯数)の手鋸には6インチの細身ヤスリが適しています。目が細かい鋸には、より小さいヤスリを使います。

ヤスリは前進ストロークで歯を削り、引くときは持ち上げます。後ろに引きながら削ると、ヤスリが鈍るだけです。ヤスリ自身のペースで削らせることが大切で、力を込めることが目的ではありません。

縦引き鋸のヤスリがけ

縦引き鋸では、ヤスリを刃板に対して直角に当てます。上から見ると、ヤスリは刃をまっすぐ横切る向きです。柄側を先端より数度低くして、歯にわずかなすくい角を付けます。端から端まで、すべての谷を順に削っていきます。ヤスリが直角なので、1回のストロークで谷の一方の歯にはノミのような刃先が付き、もう一方の歯にはそれに対応する背ができます。鋸を向き変えずに全体をヤスリがけできるはずです。

横引き鋸のヤスリがけ

横引き鋸では、ヤスリを刃板に対して直角ではなく、約75度の角度で当てます。この傾きは、しばしばフレーム角(fleam)と呼ばれ、木目をノミで削るのではなく、歯で切り裂く働きを生みます。まず手前から向こう側へ曲がった歯を、鋸に沿って順にヤスリがけします。その後、万力の中で鋸を向き変え、手前側へ曲がった歯をヤスリがけします。2回目も同じヤスリの角度を保ちます。刃先は、小さなナイフの刃のように合わさった、鋭い点になります。

シルバーとオレンジのパイプを持つ人

写真:Austin Ramsey on Unsplash

鋸を試す

鋸を片付ける前に、木の切れ端で試し切りをします。直線を引き、短い引きのストロークで慎重に始めます。鋸が鋭ければ、余計な力を加えなくても線に沿って進みます。切溝はきれいで、おがくずが均一に出るはずです。

鋸が挟まる場合は、アサリを少し足します。切り口が粗く、切溝がぎざぎざになる場合は、アサリが大きすぎます。切り口の片側だけが磨かれたようになる、または鋸が食い込まない場合は、左右のどちらか一方を違う角度でヤスリがけした可能性があります。ヤスリの角度を確認し、問題のある側だけを軽いストロークでやり直します。

木の中へ自然に引き込まれ、まっすぐな切溝を残す鋸は、甦っています。柄には50年の使用感が残っていても、歯は新品のように感じられるはずです。