ピンと針は小さな道具ですが、切れ味が落ちたり錆びたりした針は縫い目を台無しにします。砕いたクルミ殻を詰めたピンクッションは、やさしい乾いた研磨剤として働くため、針先を清潔に保ちます。これは新しいアイデアではありませんが、今でも作る価値があります。
なぜクルミ殻なのか
ほとんどのピンクッションは、綿わた、ポリエステルわた、カポックなどが詰められています。針を保持することはできますが、湿気もため込みます。そのようなクッションに刺した針は、温かく吸湿性のある場所に置かれた状態になり、時間が経つと鋼が鈍ったり斑点ができたりすることがあります。砕いたクルミ殻はそれとは違う働きをします。針先と針軸に適度な圧力をかけられる硬さがありながら、傷つけない程度の細かさがあります。殻に含まれる自然な油分は軽い錆を浮かせ、その表面が針の切れ味を落とす汚れを拭い取ります。
「殻」という言葉は重要です。詰めるのは砕いたクルミ殻であって、クルミ粉や殻の大きな破片ではありません。中目から細目の砕き具合のものは小さなクッションに詰めやすく、針との接触も良くなります。
カバーに最適なのは、ウールフェルトとリネンです。ウールフェルトは切りやすく、縫い代の始末も要りません。リネンは丈夫で、小さなポーチのように狭い開口部から表に返せます。どちらも織り目から殻が抜け出さないよう、密度が十分にあります。
材料
- ウールフェルトまたはリネンの端切れ(直径4インチ(約10cm)の円形2枚、または約3.5×4.5インチ(約9×11.5cm)の長方形2枚に切ったもの)
- 無香料の砕いたクルミ殻
- 手縫い糸
- 手縫い針
- 小さな漏斗
- はさみ
- 綿テープまたは刺しゅう糸(吊るしループ用・任意)
無香料のクルミ殻を使いましょう。クルミ殻製品には、ペット用トイレ砂や研磨ブラスト用として販売され、消臭剤や油、粉じんが含まれるものがあります。それらは適していません。袋に「無香料」と表示されているか、中身が清潔で乾燥しているかを確認してください。
クッションを作る
1. カバーを切って準備する
布を2枚切ります。リネンを使う場合は、2枚を表面同士を合わせて重ね、端から6mm(1/4インチ)の縫い代で、返し縫いか丈夫な並縫いでぐるりと縫います。約4cm(1.5インチ)の開口部を残してください。カーブの部分の縫い代に切り込みを入れ、表に返して縁を軽くアイロンで整えます。フェルトの場合は、2枚を重ねて、同じ開口部を残しながら周囲をかがり縫いします。フェルトは表に返しません。
2. クッションに詰める
開口部に漏斗を差し込みます。トレイや紙の上で作業してください。砕いたクルミ殻をスプーン1杯ずつ加え、その都度クッションの側面を軽くたたいて殻を沈ませます。押したときに少し弾力を感じるくらい、しっかりと詰まるまで入れます。石のように固く感じたら、入れすぎです。殻がゆるく動くようなら、足りていません。縫い目が無理なく閉じられる量にしてください。
3. 閉じて仕上げる
開口部の生端を内側に折り込み、ラダーステッチ(はしご縫い)で閉じます。糸をしっかり結んで留めます。吊るしループが欲しい場合は、5インチ(約13cm)の綿テープを半分に折り、閉じた縫い目の近くの縫い目に両端を縫い付けます。太い糸のループでも大丈夫です。引き出しの取っ手、ペグ、裁縫箱のふちなどに掛けられるよう、短めにしてください。
クッションの使い方
ピンクッションは、縫い物をしながら手の届く場所に置いておきましょう。使わない間は、ピンや針をクッションに刺しておきます。針に糸を通す前に、詰め物の中に針を1〜2回通してください。クルミ殻が初期の錆を拭い去り、針先を滑らかに整えます。何週間も保管していた針でも、このひと手間で再び布を滑りやすくなります。
クッションを水に浸したり、スチーマーの近くで使ったりしないでください。クルミ殻はもともと乾燥した素材ですが、カバーは防水ではありません。
エメリーについて
クルミ殻は、日常使いに適したやさしいクリーナーです。すでに錆びてしまった針には、小さなエメリー・ピンクッションのほうが強力に作用します。エメリー(金剛砂)は天然の研磨粉で、これを詰めたピンクッションは昔から針の掃除に使われてきました。同じクッションを、クルミ殻の代わりに細かいエメリー粉を詰めて作ってください。エメリーの粉じんは吸い込む恐れがあるため、ゆっくり詰め、粉を舞い上げないようにし、小さな子どもの手の届かないところに置いてください。針をしっかり磨きたいときだけに使い、日常的に細いピンをしまう場所としては使わないでください。
避けたい間違い
- 香料入りや加工処理されたクルミ殻を使わないでください。添加された油分が針をコーティングし、ほこりを引き寄せます。
- クッションを詰め込みすぎないでください。クルミ殻はファイバーフィルほど柔軟ではありません。詰めすぎると、針を刺すのも抜くのも大変になります。
- カバーを湿ったままにしないでください。カバーが濡れたら、殻を取り出して暖かい場所で乾かし、再びクッションに詰め直してください。
- ナッツ類のアレルギーがある場合は、クルミ殻を使わないでください。代わりにエメリー・クッションか、普通のウールわたを詰めたクッションを使ってください。
クルミ殻のピンクッションは小さなものですが、裁縫箱の中に置くだけの価値があります。作るのに午後ひとつ分の時間がかからず、手元にある端切れを使い、すべての針をいつでも使える状態に保ってくれます。